2010-12-21

Buon Natale!

気がつけばクリスマスも今週末に迫ってきました。今年は久しぶりにNativityのお人形たちを出しました。10年以上前に、神戸ルミナリエの出店でぐうぜん見つけて一目惚れし、即買いしたものです。毎年飾っていましたが、ここ2年ほど、何だかバタバタしてお蔵入りのままでした。(ゴメンナサイ)

イタリアではクリスマスの季節になると、プレゼピオというキリスト降誕の場面を再現した飾りが街のあちこちに登場します。それに少しでもあやかろうと、家の一角に小さなプレゼピオ気分で飾っています。いつか本当のプレゼピオを見るぞ!と念じつつ。

Buon Natale e felice anno nuovo a tutti!!

ジェットコースターバス

ソウルのバスは、スリリングだそうだ。昨日(2010/12/20)の日経の夕刊コラム「ところ変われば…」によると、

1.すべての表示がハングル→日本人には高いハードル
2.バス停の名前がズラリと並ぶだけの路線図→(他の地方から来た)韓国人にも難解
3.スピード抜群、バス停前では急停車、ドアは停車しきらないうちに開き始め、客の下車を確認するや競うように急発進

在留邦人の間では「ジェットコースター」とも言われているそうだが、慣れるとこれほど便利なものはないらしい。というのも、複数車線の真ん中がバス専用レーンになっていて、当局が一般車両の通行を厳しく取り締まっているため、どんな渋滞も尻目にスイスイ。路線も本数も豊富で待ち時間も少なく、しかも格安(100ウォン≒73円)。

ハングル修行中の身としては、1だけでも萌えてくるね。この次韓国に行ったときは、ぜひソウルバスにチャレンジしよう!

2010-12-19

人名で覚えるハングル―「チャングム」編

コレを忘れていました。事の始まりは、ほかでもないコレでした。どんなに陥れられても謀られても、決してめげずに這い上がってくるチャングムの、スーパーポジティブなリベンジ魂に勇気づけられ、そんな彼女を陰に日向に支え続けて、ついには両班の地位まで捨てるミン・ジョンホの、ちょっとあり得ないぐらいの理想の男ぶりに、かすかな希望を抱いたのでした。

時は朝鮮王朝中盤、中宗の治世。クーデター(中宗反正)により廃位された暴君燕山君(ヨンサングン)の後の王様です。その中宗に重用された「大長今」なる医女がいたとされていますが、確たる事実といえるほどの証拠はないようで、ドラマの内容は、ほぼ100%フィクションです。登場人物も中宗以外はほとんどが架空といっていいと思いますが、陰謀あり、復讐あり、ロマンスありの、波乱万丈ストーリーは、とにかく純粋に楽しめます。あれだけ何度もどん底に突き落とされながら、その都度パワーアップして再起するチャングムの異常な強運や、あまりに出来すぎたミン・ジョンホのスーパーウルトラなパーフェクト男ぶりは、あの時代(現代でも)まずあり得ないと思うのですが、そんな疑念の付け入る隙も与えずグイグイ引っ張っていく力技は、やはり韓流の韓流たるゆえんでしょうか。

■宮廷女官チャングムの誓い(大長今/대장금) 番組HP
http://lala.tv/programs/changumu/index.html

■出演者
이 영애  イ・ヨンエ(チャングム)
지 진희  チ・ジニ(ミン・ジョンホ)
홍 리나  ホン・リナ(クミョン)
임 호    イム・ホ(中宗)
임 현식  イム・ヒョンシク(カン・ドック)
금 보라  クム・ボラ(トックの妻)
양 미경  ヤン・ミギョン(ハン尚宮)
견 미리  キョン・ミリ(チェ尚宮)
이 희도  イ・ヒド(チェ・パンスル)
조 경횐  チョ・ギョンファン(オ・ギョモ)
여 운계  ヨ・ウンゲ(チョン最高尚宮[チェゴサングン])
박 정수  パク・ジョンス(女官長=提調尚宮[チェジョサングン])
엄 유신  オム・ユシン(皇太后)
김 소이  キム・ソイ(ミン尚宮)
박 은해  パク・ウネ(ヨンセン→後に中宗側室)
이 잎새  イ・イプセ(ヨンノ)
한 지민  ハン・ジミン(医女シンビ)
이 세은  イ・セウン(医女ヨリ)
김 여진  キム・ヨジン(医女チャンドク)
박 은수  パク・ウンス(医官シン・イクピル)
맴 상훈  メン・サンフン(医官チョン・ウンベク)
지 산렬  チ・サンリョル(医官チョ・チボク)
신 국    シン・グッ(内侍府長官)

■登場人物
서 장금  ソ・ジャングム
민 졍호  ミン・ジョンホ(文官兼武官、チャングムの理解者・伴侶)
최 금영  チェ・グミョン(チェ尚宮の姪、チャングムのライバル)
중종    中宗(チュンジョン)
간 덕구  カン・ドック(チャングムの養父)
한 백영  ハン・ペギョン(ハン尚宮:チャングムの料理の師、亡きチャングム母の親友)
최 성금  チェ・ソングム(チェ尚宮:クミョンの叔母、ハン尚宮のライバル)
최 판술  チェ・パンスル(チェ尚宮の兄)
오 겸호  オ・ギョモ(朝廷の重臣、チェ一族と結託)
정 말금  チョン・マルグム(最高尚宮)
박 융신  パク・ヨンシン(女官長)
민 귀열  ミン・グィヨル(ミン尚宮、チャングムのサポーター)
이 윤생  イ・ヨンセン(チャングムの親友、女官→淑媛[スグォン]=下位の側室)
윤 영로  ユン・ヨンノ(女官、チェ一族派)
신비    シンビ(医女、チャングムの親友)
박 열이  パク・ヨリ(医女、チャングムを敵視)
장덕    チャンドク(済州島の医女、チャングムの医術の師)
신 익필  シン・イクピル(医学教授・医局長、チャングムの師・上司)
정 운백  チョン・ウンベク(医務官、チャングムの上司)
조 지복  チョ・チボク(医官、落ちこぼれだがチャングムの味方)

※ハングル初心者のため、不正確な表記もあると思います。間違いがあれば、ご教示いただければ幸いです。

2010-12-18

Rain(ピ)@チャングム!?

あんまり笑えたので、ご紹介します。チャングムの登場人物がRain(ピ)の正体を探るという設定。Rain(ピ)=ウーパールーパーというのが笑える。さりげなく「サンドゥ、学校へ行こう!(상두야, 학교가자!)」の筋書きが潜り込ませてあります。

오빠 생각(オッパ センガッ)―兄さんへの想い

先週の韓国語クラスで、「오빠 생각(オッパ センガッ)」という歌を習いました。家を出た兄を思って妹が歌う歌で、韓国では誰もが知っている有名な童謡だそうです。日本人には平音(ㄱやㄷやㅂの類)との区別が難しい濃音(ㄲやㄸやㅃの類)の練習に最適、ということで、いつものP先生の代理で来られたC先生が、声楽の専門家ならではの美声を披露してくださいました。

♪♪♪오빠 생각(オッパ センガッ)♪♪♪

뜸뿍뜸뿍 뜸뿍새 논에서 울고
トゥンプットゥンプッ トゥンプッkセ ノネソ ウ
トゥンプトゥンプと ヒクイナ 田で 鳴き

뻐꾹뻐꾹 뻐꾹새 숲에서 울제
ポックッポックッ ポックッkセ スペソ ウチェ
ポックッポックッと カッコウ 林で 鳴くときに

우리 오빠 말타고 서울 가시면
ウリ オッパ マタゴ ソウ カシミョン
私の 兄さん 馬に乗って ソウルに 行ったら

비단 구두 사가지고 오신다더니
ピダン クドゥ サガジゴ オシンダドニ
絹の くつ 買って 来ると言ったのに

*오빠=(妹にとっての)兄  cf. 형(ヒョン)=(弟にとっての)兄
*새=鳥  뜸뿍(トゥンプ:ヒクイナの鳴き声)+새(鳥)=뜸뿍새 ヒクイナ(緋秧鶏)
*우리=私たち→「私の」の強意としてもよく使われるそうです

♪楽譜出典http://www.samsung.com/sec/aboutsamsung/sponsorship/culture/song/history/listen_popup02.html

韓国語の発音をカナで表記することには、ものすご~く限界がありますが、鳥の鳴き声を模した擬声語や韻を踏んだ歌詞の雰囲気が少しでも伝わればと思い、参考程度に付しました。何気に日本語と似ている言葉もありつつ、日本語にない発音や似て非なる発音が多いので、あまり信用しないでください。(授業ではつねづね、カタカナでルビを打たないように言われています。)

韓国語は、日本語と同様、オノマトペ(擬声語・擬態語)の大変豊富な言語だそうですが、뜸뿍뜸뿍(ヒクイナの鳴き声)や 뻐꾹뻐꾹(カッコウの鳴き声)など、まさにオノマトペの饗宴ですね。のびやかなメロディがどこか哀調を帯びて、もの悲しくも美しい歌です。ぜひ曲も聴いてみてください。

♪曲を聴く
http://www.youtube.com/watch?v=4QDRppXtS1k チョ・ヨンピル(조용필、趙容弼)の歌
http://www.youtube.com/watch?v=wXG7x8EtZSc 歌手と子どもたちの合唱(3曲目:1′35″~)
*口の動きが見えるので発音の参考になるかも。観客がみな口ずさんでいるのも、いかにポピュラーな歌かということがうかがわれます。

2010-12-14

人名で覚えるハングル―「龍の涙」編

高麗滅亡からイ・ソンゲ(李成桂)の朝鮮建国、第3代太宗を経て第4代世宗大王まで、朝鮮王朝(李氏朝鮮)草創期を舞台にした大河ドラマ。親子、兄弟、親族…血を分けた者たちの権力をめぐる骨肉の争い。国のあり方をめぐる侃侃諤諤の激論。謀反、謀略、流血…。ほとんど色恋沙汰もなく、ひたすら戦闘と議論で159話に及ぶ長大なストーリーを牽引する力技は見事です。王位を目指し若い太子(異母弟バンソク)を殺し、自分に刃向かう者は徹底排除、父ソンゲにすら刃を向けるバンウォン(太宗)の苛烈なリーダーシップが圧巻。その後に聖君世宗大王(バンウォンの三男)の時代が来るのですね。15年ほど前のドラマですが、韓流大河時代劇の原点として、今なお不動の高評価を得ているようです。

■龍の涙 番組HP
http://ryunonamida.com/
http://www.bs4.jp/drama/dragon/

■出演者
김 무생  キム・ムセン(太祖イ・ソンゲ)
유 동군  ユ・ドングン(太宗イ・バンウォン)
김 흥기  キム・フンギ(チョン・ドジョン)
최 명길  チェ・ミョンギル(ミン氏/元敬王后)
김 영란  キム・ヨンナン(カン氏/神徳王后)
임 혁    イム・ヒョク(ハ・リュン)


■登場人物
태조 이성겨    太祖李成桂(テジョ イ・ソンゲ) 初代朝鮮王
태종 이방원    太宗李芳遠(テジョン イ・バンウォン) ソンゲの五男、第3代王
원경왕후 민씨   元敬王后閔氏(ウォンギョンワンフ ミンシ) バンウォンの妻
정종 이방과    定宗李芳果(チョンジョン イ・バングァ) ソンゲの次男、第2代王
정앙왕후 김씨   定安(チョンアン)王后金氏(定宗の妃)
신덕왕후 강씨   神徳(シンドク)王后康(カン)氏(ソンゲの2番目の妃)
의안대군 이방석 宜安大君李芳碩(ウィアンデグン イ・バンソク)
ソンゲの八男(母カン氏)、世子(王太子)→バンウォンが殺害
정 도전  チョン・ドジョン(鄭道傳) ソンゲの参謀→バンウォンが殺害
하 륜    ハ・リュン(河崙) バンウォンの参謀
이 숙번  イ・スクポン(バンウォンの腹心)
조 영무  チョ・ヨンム(バンウォンの腹心)
박 석명  パク・ソンミョン(バンウォンの腹心)
민 재    ミン・ジェ(ミン氏の父、バンウォンの義父)
민 무구  ミン・ムグ(ミン氏の弟、バンウォンの義弟)
민 무질  ミン・ムジル(ミン氏の弟、バンウォンの義弟)
조 준    チョ・ジュン(元老)
권 근    クォン・グン(元老)
선 석린  ソン・ソンニン(元老)
이 거이  イ・ゴイ(バンウォン派→批判派→流罪)
이 저    イ・ジョ(イ・ゴイの息子→流罪)
他多数

参考
http://kdrama.bake-neko.net/title/107014508.html

※ハングル初心者のため、不正確な箇所もあると思います。間違いがあれば、ご教示いただければ幸いです。

2010-12-13

姓と氏―なまえのはなし#3

韓国の姓が同族集団の呼称であるのに対して、日本の氏は「イエ」の呼称であり、同族であっても家が分かれると違う名を名乗ったりします。例えば、かつての藤原氏がその後、近衛、鷹司、九条、二条、一条などそれぞれの名を名乗ったように、必ずしも姓の継承には重きを置かなかったといえます。
※氏、姓、名字(苗字)は、厳密にはそれぞれ時代による変遷や既定のされ方の違いがあるようですが、ここでは詳細に立ち入らず、姓=一族の呼称、氏=家の呼称、名字=ファミリーネームとして使われているもの(姓でも氏でも)と考えておきます。

対して、韓国人の姓は父祖からの連綿たる系譜の証であり、さらに日本よりも強い儒教的伝統を考えると、先祖への忠孝意識はきわめて強いと考えられます。とすれば、姓を引き継いでいくことは、先祖代々の血統を引き継いでいくということであり、子孫としての最大の務めでもあるともいえます。そう考えると、日本統治下にお ける創氏改名という政策の狙いは何であったか、それが姓や本貫に強い思い入れをもつ当地の人々のメンタリティにどう作用したか、ということが見えて きます。そのねらいは、朝鮮半島の人々に日本風の名を名乗らせて同化するというようなことではなく、日本的「イエ」制度を導入することで朝鮮の伝統的な家族・親族制度を改編し、姓と本貫を同じ くする一族郎党によって形成される宗族集団―時に強力な結束を発揮する―の解体および弱体化をはかるものであった、と(水野直樹 『創氏改名』)。だからこそ、「改姓」でなく「創氏(氏を創る)」だったのですね。また、義務であった「創氏」に対し、「改名」(ファーストネームの変更)は任意であったということです。

こうした圧力にさらされた当地の人々は、どのように対応したのか。多くの人が(不本意ながらも)創氏を行ったのですが、その際、もとの姓の一部を取り入れたり(ex. 金→金田、金山、金本など)、本貫を氏にしたり(ex. 豊川李氏→豊川、檜山黄氏→檜山など)、姓と本貫を組み合わせて氏を創ったりして、何とか先祖との繋がりを保持し、先祖に背くようなことならぬよう苦慮したようです。これらの問題について は、下の本が参考になります。詳しく知りたい方は、ご一読ください。

参考図書


#1(どこのキムさん?姓と本貫) を読む
#2(韓国夫婦別姓事情) を読む

韓国夫婦別姓事情―なまえのはなし#2

韓国は伝統的に夫婦別姓の国として知られていますが、これは現代的な意味での男女同権によるものではなく、彼らが父系血統の継承を非常に重視することによります。韓国では基本的に、男系の姓が継承されてきました。つまり子どもは、父母の姓のうち父親の姓を受け継ぎます。そして、父から受け継いだ姓と本貫は出自の証であり、基本的に一生変わることはありません。結婚して も、離婚しても、再婚しても変わらないのです。まさにアイデンティティの象徴といえるかもしれません。とすれば、やや誇張的かもしれませんが、名前が変わるということはある意味で別人になるに等しいようなことであり、それゆえに名前を変えることへの心理的抵抗は日本人よりもはるかに強いのであろうと考えられます。

ひるがえって、日本では結婚や離婚、養子縁組などで名前はいくらでも変わります。結婚すればたいてい男性側の氏を選択することになる日本女性からすれば、結婚だの離婚だのでいちいち名前が変わらなければ諸々の名義変更の煩わしさがなくていいなと思いきや、そう単純な話ではないわけで、件のガイド嬢ナさん(#1参照)曰く、父と子の姓が違う場合など事情が複雑なのだ、と。例えば、女性が離婚し子連れで再婚すると、父・母・子全員の姓が違うことがあり得るのですが、そうすると父子は血のつながりがなく、母には離婚歴があることが一目瞭然になる。あるいは、母の姓を名乗っていると、父のいない子(未婚の母の子)と知れてしまい、様々な偏見にさらされることになってしまう、というのです。

ちょっと脱線しますが、「怪しい三兄弟」というドラマの中で、未婚の母であるオム・チョンナン(ト・ジウォン)が息子ジョンナムのことを、「あの子には名字もない。ジョンナムに立派な父親をつくってやりたい」と不憫がる場面がありました。あえて母である自分の戸籍に入れずに今まできた―つまりジョンナムは無戸籍―ということで、それってちょっとマズいんじゃ…と思うわけですが、子どもが受けるであろう偏見を考えると、そうせざるを得なかったという親心の表れなのでしょう。それだけに、いつかわが子に立派な父親を、との思いは強 く、超弩級の嘘つきでモラルゼロのお騒がせ女チョンナンも、息子がバカにされたりないがしろにされると、相手が誰であれ絶対に黙っていません。紆余曲折を経て、チョンナンは三兄弟の長男キム・コンガン(アン・ネサン)と無事結婚、子どもは晴れてキム・ジョンナムになります。キム・コンガン、オム・チョンナン、そしてキム・ジョンナムの3人が1つの戸籍に登録された証明書を見て、孤児院育ちで家族と縁のなかったチョンナンが思わず涙ぐむシーンには、ホロリとさせられました。

また、かの「冬ソナ」(いちおう見た)では、主人公カン・ジュンサン(ペ・ヨンジュン)の母カン・ミヒ(ソン・オクスク)が、交通事故で記憶喪失になったチュンサンに偽りの記憶をインプットしてまで別人イ・ミニョンに仕立てるわけですが、そこには未婚のまま私生児としてチュンサンを生んだことへの後ろめたさがあり、(自分とは違う姓を持つ「イ・ミニョン」にすることで)チュンサンに父親を与えてやりたかった、というくだりがありました。いくらなんでもそれはやりすぎやろ、というツッコミはさておき、伝統的に夫婦別姓を旨とするこの国で、子どもが父親の姓を名乗れない場合に社会の中で受けざるを得ない有言無言の圧力の大きさを物語っているようで、「怪しい~」のチョンナン&ジョンナムの話ともども興味深いエピソードでした。韓国でも離婚や未婚が増えているとはいえ、日本に比べればまだまだ世間の風当たりが強く、当事者にとってかなりデリケートな問題のようです。

なお、これもナさんに聞いたのですが、近年、法律が改正され、子は父母どちらの姓を名乗ることもできるようになったとのこと。また、場合によっては姓を変えることも可能になったようです。実際にどのぐらいの割合で母方の姓が継承されているかは知りませんが、何よりも重んじられてきた男系の系譜に対し、女系はほとんど重んじられることがなかったことを考えると、これは韓国の強力な家父長制の変容を象徴する動きといえるのでしょう。

参考
http://www.konest.com/data/korean_life_detail.html?no=1634

#1(どこのキムさん?姓と本貫) を読む
#3(姓と氏) を読む

どこのキムさん?姓と本貫―なまえのはなし#1

金(김/キム)、李(이/イ)、朴(박/パク)の3大姓で4割以上、これに崔(최/チェ)、鄭(정/チョン)を加えた5大姓で過半数―これだけ同姓が多いと、「姓」だけではほとんど識別のサインになりません。そこで、キムさんなら「どこのキムさん?」ということが問題になるわけで、これを示すのが「本貫」です。たいてい一族発祥の地が本貫となっており、同じ金姓でも「金海金氏(김해김씨)」と「安東金氏(안동김씨)」は別の一族です。
※金海(김해、キメ)=慶尚南道・釜山の近く  安東(안동、アンドン)=慶尚北道

よく、韓国では同姓同士の結婚ができないといわれるのは、同姓同本(姓と本貫が同じ)の場合です。同姓同本の結婚禁止は近年、法律上は撤廃されたそうですが、やはり慣習としては抵抗があるようで、2年前の韓国旅行で4泊5日の行程を共にしてくれたスルーガイド嬢の話では、憎からず思う相手に出会ったらまず名前を聞く(∵同姓同本だと困る)ということでした。彼女の姓は「羅(나/ナ)」でしたが、これは韓国では少ない姓で、同姓同本の可能性が高いから、「いいなと思う男性がいたとして、その人の名字が羅だったら、その瞬間にエンド(つまり、ハナから始まらない)」と言ってました。

ナさんの場合、母集団が少ない分シンプルかもしれませんが、キムさんやイさんなら本貫まできかないと分からないですね。ドラマ「マイ・スイート・ソウル」で、主人公オ・ウンス(チェ・ガンヒ)の恋人キム・ヨンス(イ・ソンギュン)が、彼女の父親に「どこのキム氏か?」とたずねられ、「キメ(金海)です」と答える場面がありました。(実はヨンスは訳ありの過去をもつ人で、本当は別人だと後で判明する。)この2人は「オ」と「キム」なので同姓同本の心配はないですが、例えばキムさん同士なら、最初の出合いの時に本貫も確かめ合うのかどうか?実際のところは分かりませんが、結婚を意識するとなればきっと確認するのでしょうね。

#2(韓国夫婦別姓事情) を読む

2010-12-11

人名で覚えるハングル―「千秋太后」編

「名前で覚えるハングル」シリーズ。時代劇は登場人物が多く、キャプションで名前が表示されるので、ハングル学習に最適です。ドラマを見ながら、役者や登場人物の名前をチェックし、そのつど書き取る、というのを実行中です。(1話見るのに異様に時間がかかる・・・)今回は、10世紀の高麗を舞台にした長編「千秋太后」。

ファンボ・ス(皇甫壽)こと千秋太后は、高麗建国者太祖王建(テジョ ワンゴン)の孫で、第5代景宗の妃、第6代成宗の妹、第7代穆宗の母で摂政でもありした。史実では、景宗の死後キム・チヤン(後に反乱を起こす)と関係を持ち、二人の間に生まれた子を王位につけようと穆宗を暗殺しようとしたとされ、権力欲に取りつかれた妖婦・姦婦として歴史に名をとどめているそうですが、その千秋太后を新しい解釈で描いたものです。儒教を国是とした朝鮮王朝と違い、高麗では女性の地位がもっと高かったという視点から、ドラマでは、何よりも高麗の国力強化を願い、どこまでも大高麗の理想に己を捧げた女傑として彼女を描写。後代の儒者による不当な貶めもあっただろうという立場に立った光の当て方をしています。しばしば登場する反儒教派(崇仏派)と親儒教派(廃仏派)の対立も興味深い(スも兄の成宗とこの点で対立)。今では韓国と言えば儒教というイメージですが、導入・定着までにはやはり賛否両論あったのですね。キム・チヤンとの恋愛の顛末が「うーん、単に男を見る目がなかっただけでは…」という感じで、私としてはどうもイマイチ感が否めないのですが、ともあれ馬を駆り、武器をふるい、居並ぶ猛者に檄を飛ばす彼女の剛腕ぶりは、朝鮮王朝モノでは不可能な設定であろうなと思います。チャミ夫人@海神といい千秋太后といい、チェ・シラはこの手のつよ~い&コワ~イ強面女をやらせたら右に出るものがいませんなあ。

■千秋太后(チョンチュテフ) 番組HP
http://www.bs-asahi.co.jp/chonchutefu/
http://www.kbsworld.ne.jp/drama/detail.php?cno=236

■出演者  ※(  )は役名
채 시라  チェ・シラ(ファンボ・ス/千秋太后)
김 석훈  キム・ソックン(キム・チヤン)
최 재성  チェ・ジェソン(カン・ジョ)
이 덕화  イ・ドックァ(カン・ガムチャン:高麗の重臣・名将)
심 햬진  シム・ヘジン(蕭太后)
김 명수  キム・ミョンス(成宗:高麗第6代王)
문 정희  ムン・ジョンヒ(成宗の妃/延興[ヨヌン]宮主)
김 병기  キム・ビョンギ(延興宮主の父)
임 혁    イム・ヒョク(ソ・ヒ)

■登場人物
황보 수/천추대후 ファンボ・ス(皇甫壽)/千秋太后(チョンチュテフ)
김 치양  キム・チヤン(金致陽)
강 조    カン・ジョ(康兆)
강 감찬  カン・ガムチャン(姜邯贊
목종    穆宗(モクチョン:高麗第7代王)
현종    顕宗(ヒョンジョン:高麗第8代王)
최 항    チェ・ハン
대 도수  テ・ドス
양 규    ヤン・ギュ
김 숙훙  キム・スクン
유 방    ユ・バン
최 질    チェ・ジル
김 훈    キム・フン
하 공진  ハ・ゴンジン
지 채문  チ・チェムン
유 종    ユ・ジョン
왼 종석  ウォン・ジョンソク
진간    チングァン(津寛:僧侶)
채 충손  チェ・チュンスン
최 원신  チェ・ウォンシン
김 심언  キム・シモン
황보 유외 ファンボ・ユイ
최 숙    チェ・スク
문 인위  ムン・イニ
조 선    チョ・ソン
탁 사정  タク・サジョン
이 현운  イ・ヒョヌン
안 패    アン・ペ
독 연    トギョン
모블라   モブルラ
중주궁주 忠州宮主(チュンジュクンチュ)
김 종현  キム・ジョンヒョン
성종    成宗(ソンジョン:遼[契丹]第6代皇帝)
소태후   蕭太后(ソテフ:契丹成宗の母)
한 덕양  ハン・ドギャン(韓德讓:ソ太后の腹心) 

※ハングル初心者のため、不正確な箇所もあると思います。間違いがあれば、ご教示いただければ幸いです。

人名で覚えるハングル―韓国5大姓

「ウルトラマン」のキャラクター@ハングル表記を日本語と対照させてハングルを覚えた人がいる、という話を知人から聞いたことがありますが、私は人名でチャレンジ中。最近はドラマのクレジットや人名キャプションが出てくる度に、いちいち一時停止して確認してます。

■韓国5大姓

さて、韓国人の姓といえば、何といってもキム、イ、パク。あと、チェやチョンも多いなあ、というところでしょう。実際、この5つで国民の過半数を占めるそうなので、これらのハングルが分かるだけでも、俳優やタレントの名前が解読できる確率大幅アップ。ということで、韓国5大姓のハングル表記を。
※(  )は英語表記。必ずしも固定されているわけではなく、姓によってはけっこう表記の揺れがあるようです。

1. 金  김  キム(Kim)
2. 李  이  イ(Lee)
3. 朴  박  パク(Park)
4. 崔  최  チェ(Choi)
5. 鄭  정  チョン(Jeong/Chung/Jung)

上記の中でも金・李・朴のトップ3だけで実に4割以上を占め、特に金はダントツです。これだけ同じ姓をもつ人が多いので、基本的に苗字で呼び合う習慣はなく、親しい間柄ならファーストネームで、フォーマルな場面ではフルネーム(さんづけ)で呼ぶのが普通のようです。ドラマを見ていると、人を叱りつける時などもよくフルネーム(呼び捨て)を使っています。

なお、李は、韓国では「イ(이)」、北朝鮮では「リ(리)」と発音するそうです。もともとは「リ」だったのが、1960年代ごろから韓国では「イ」になってきたとか。いずれにしても、英語では Lee と表記されます。ちなみに李は、中国でも最多の姓らしく、漢字文化圏はもとより世界的に見ても多い姓だということです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E6%B0%8F

以下、6位以降。

6. 姜  강  カン(Gang)
7. 趙  조  チョ(Jo)
8. 尹  윤  ユン(Yun)
9. 張  장  チャン(Jang)
10.林  임  イム(Lim)

李と同様、林ももともとは「リム(림)」、北朝鮮では今も「リム」と読み、英語表記はオリジンを踏襲して Lim だそうです。

■名前の呼び方

日本語の「~さん」にあたる「~씨(シ)」という言葉は、ファーストネームまたはフルネームつけるのはOKですが、ファミリーネームだけにつけるのはNG。「姓+씨(シ)」という表現は、大変失礼にあたるそうです。日本の感覚でついうっかり「苗字+さん」というと、相手の心証を害してしまうので要注意!

例)이영애(イ・ヨンエ)の場合
이영애씨(イ・ヨンエシ)→OK :-)  영애씨(ヨンエシ)→OK :-)  이씨(イシ)→NG!!! :-(

<参考>
http://www.katch.ne.jp/~antena/koreaseisi.htm
http://kajiritate-no-hangul.com/myouji.html

2010-12-09

基本のあいさつ

안넝하세요?    - 네, 안녕하세요. (アンニョンハセヨ? - ネー、アンニョンハセヨ)
안녕하심니까? - 네, 안녕하세요. (アンニョンハシmニカ? - ネー、アンニョンハセヨ)
안넝=安寧
朝昼夜、時間を気にせずいつでも使える基本のあいさつ。下は、より改まった(硬い)表現。どちらの表現で尋ねられても、答える時は 안녕하세요.

저는 ~ 입니디. (チョヌン ~ イmニダ)  私は ~ です。
저=私 는=~は(助詞) 입니디=~です
日本語と文法が似てるって、ホントにありがたい。

감사합니가. (カmサハmニダ)  ありがとうございます。
감사=感謝

네/아뇨 (ネー/アニョ)  yes/no
時代劇などでよく耳にする「예(イェー)=はい」というのは、少々かしこまった表現?のようです。

基本のハングル

■基本母音&子音
母音字:ㅏ ㅑ ㅓ ㅕ ㅗ ㅛ ㅜㅡ ㅣ
子音字:ㄱ ㄴ ㄷ ㄹ ㅁ ㅂ ㅅ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ

例えば、各子音+母音ㅏ(a)で、、、
가 나 다 라 마 바 사 아 자 차 카 타 파 하
ga na  da  la ma ba sa  a  ja  cha ka ta  pa ha

■ハングルの基本構造(組合せのパターン)
1)子音(左)+母音(右)
2)子音(上)+母音(下)
3)子音(左)+母音(右)+パッチム(下)
4)子音(上)+母音(中)+パッチム(下)

2010-12-08

韓流萌え・ハングル萌え

안녕하세요. 저는 알바 입니다.
(アンニョンハセヨ。チョヌン アルバ イムニダ)
こんにちは、ALBAです。

『大長今(대장금)』(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)以来じわじわと韓流のツボにハマり込み、この12月からとうとう韓国語を習い始めました。韓国語には今まで幾度となくチャレンジしたものの、ラジオ講座をかじっては入口のハングルで挫折というパターンを繰り返した末、ハングルにぷちトラウマがある私に独学は無理と悟り、初級講座に通い始めた次第。やはり仲間のいる環境は心強いもので、今のところ順調にハングルや発音の基礎を学んでいます。

とっつきにくかったハングルも、原理が分かると面白くなってきて、学習の励み&ハングルキーボード習得の一助にと、このブログを始めました。まったく個人的な学習ノートですが、韓国語初心者の方と一緒にがんばっていければ嬉しく思います。

2010-12-03

ハングルのトラウマ

韓流カキコミ第3段。先週から韓国語講座に通い始め、目下ちょっとした“ハングル萌え”の私ですが、実はハングルには痛~い記憶があります。それは、、、

Long long ago♪は~るかな~昔♪大学時代、「現代日本語学」という授業を取っていました。あまりマジメに出なかったこともあり、内容はほとんど覚えていませんが、1年間、数人の先生が入れ替わり立ち替わり専門トピックについて講義するというものだったと思います。そして、ある先生の時(日本語文法の大家であられた方です。故人)、日本語との比較だったのでしょうか、とにかくハングルが登場しました。一覧表も配られたような気がします。でも、まァ、これは「日本語」学の授業やし、試験に出るわけでもないやろ、とタカをくくっていたアホ学生は、まったく覚えませんでした。

そして、試験当日。何はともあれ名前書かなね、と用紙を一瞥した私の目に飛び込んだのは、、、

「ハングルで自分の名前を書け」

万事休す。小学校から大学に至るまで、名前すら書けなかった試験というのは、後にも先にもこれだけです。「え~っ、日本語学のテストちゃうのぉ~、なんでいきなりハングルなのォ~~~」といくら(心の中で)叫んだところで、仕方ありません。完全に出鼻をくじかれた私は、確かそのままリタイアしたような気がします。以来ハングルは、ぷちトラウマ体験となっていたのでありました。

ハングルといえば、その少し前にソウルでオリンピックがあり(古~っ!)、浪人時代の友達が3人、韓国に行きました。今のような韓流ブームはまだ見る影もなかったころ。お土産の「辛」ラーメンをもらい、ひとしきり珍道中の話を聞かせてもらった中で、特に印象的だったのは、これまたハングルにまつわることでした。下関を出航し釜山に着いた彼らは、上陸した瞬間、大カルチャーショックを受けたといいます。

か、漢字がない看板わかれへん…(汗)

そこで彼らが目にしたものは、街を覆い尽くすハングルの洪水。韓国語は日本語と文法が似ているし、漢字もあるから何とかなるやろ、という甘い読みは完全に外れたのでした。それを聞いて、そうなのか、韓国では漢字はほとんど使われてないのか、とは思いましたが、まさかハングルで名前を書かされるハメになろうとは思ってもみませんでした。ましてや、それから20年以上たってハングルを真面目に勉強する気になろうとは!そう考えてみると、私とハングルの因縁めいた関係は、案外イタリアよりも長いといえるのかもしれません。안녕!

2010-12-02

2008年韓国の旅

もう2年も前のことになりますが、ハングル萌えついでに、初めての韓国旅行の思い出など。本棚を整理していたら、旅程表が出てきたのです。「悠久の韓国歴史ロマンを巡る 全羅南道・水原・利川5日間 おてごろコース」全食事つき、全行程スルーガイド付き。「おてごろ」とはいうものの、安近短ゾーンとしてはけっこう値の張るツアーで、旅程もかなり強行軍でした。釜山から入って半島西側をぐるっとソウルまで縦断、いわば古の百済を踏破するルート。ソウル・慶州4日間あたりを考えていましたが、そういう典型的なコースはことごとく満席、旅行社でさんざん探してもらって、唯一空きがあったのがコレだったのですよ。

果たして、フタを開けてみると、参加者は私と相方の2人だけ。初めてにしては、かなりマニアックなコースだった(らしい)。釜山の空港で迎えてくれたガイドのN嬢は、私たちを見つけるなり、
「お揃いですね。では、行きましょう!(^o^)」
「…え!?…2人だけ…ですか?」
「ハイ(^-^)」
「・・・(^_^;)」
「ところで、韓国は何回目ですか?」
「初めてです」
「それはめずらしい!このツアー参加者は、たいてい相当のリピーターで、しかも歴史好きの年配の方が多いんですよ。70~80代の方もおられます。歴史がお好きなんですか?」
「いえ、特にそういうわけでも…」

空いてるツアーがこれしかなかった、とは言えませんでした。しかし、結果的には私たち2人にスルーガイド+専属ドライバーという、ものすごく贅沢なツアーとなりました。30代前半のN嬢は、このツアーにはめずらしく若手の(!?)客に当たったためか、当地の若者事情を率直にユーモラスに話してくれました。学生生活、恋愛、結婚、兵役、仕事…現代の20~30代の韓国人の考え方、上の世代とのギャップ、伝統的な価値観との葛藤など、歴史解説よりも移動中のフリートークが印象に残ります。

旅行中は何もかもN嬢まかせの、上げ膳据え膳だったので、韓国語を話す必要に迫られることもありませんでしたが、最終日ソウルでフリータイムの時、ハングルが分からず街歩きもひと苦労という経験から、いつか韓国語を勉強しないとな、と思い始めました。今年の5月にユネスコのWorld Conference on Arts Educationでソウルへ行った時も、会議は英語だとしても、街中を移動するのにハングルが分からないのはやはり不便。初旅行から2年以上たって、ようやく韓国語の勉強を始めることができました。この次韓国に行く時は、自力でどこまでコミュニケーションできるか、ぜひ試してみたいと思っています。안녕!

■旅のあしあと

2008/7/21
大阪→釜山(부산:プサン)→光陽(광양:クァンヤン)
※釜山は降りただけ、 光陽は泊っただけ
2008/7/22
→順天(순천:スンチョン) ●松広寺(송광사:ソングァンサ) ●楽安邑城民俗村
→霊岩(영암:ヨンアム) ●王仁博士遺跡地
※日本に漢字を伝えたとされる王仁。実在が疑問視される人物だが、大阪府枚方市にはいちおう伝王仁墓なる史跡あり。ともあれ大阪とは縁の深い存在といえるでしょう。
→羅州(나주:ナジュ)  ●三韓志テーマパーク
→潭陽(담양:タミャン) 
2008/7/23
潭陽(담양:タミャン) ●竹博物館
※竹の里。名物は竹筒ご飯。「茶母(チェオクの剣)」のロケ地らしい。
→水原(수원:スウォン)  ●水原華城(世界遺産) ●韓国民俗村
→利川(이천:イチョン)
2008/7/24
利川(이천:イチョン) ●窯元見学
※陶芸で有名。つい青磁の大皿を購入してしまう。
→ソウル(서울) ●宗廟종묘:チョンミョ)世界遺産 ●景福宮(경복궁:キョンボックン) ●仁寺洞인사동:インサドン)
2008/7/25
ソウルでフリータイム→大阪


 
願掛けの石積み(松広寺)

 
韓流時代劇的光景(※人形です)

医女仲間に裏切られて泣くチャングム↑

のシーンを撮影した場所↓(楽安邑城民俗村)


水原華城(華虹門)―第22代朝鮮国王正祖(イ・サン)が建造

景福宮 ―朝鮮王朝の王宮

 
王宮の護り(※人間です)

韓流ことはじめ

안녕하세요?(アンニョンハセヨ?)

久しぶりの投稿です。前世紀末以来、一生抜けられないアモーレ・イタリアにハマっている私ですが、実は最近、韓流にもハマっています。最近といっても、かの「チャングム(大長今)」以来なので、それなりには長いです。あえて「事始め」なのは、このたびようやく韓国語を学び始めたから。

冬ソナ全盛の頃には何の関心もなかった(むしろ冷やかに眺めていた)のが、「チャングム」を皮切りに韓流時代劇のツボにハマって幾星霜、今では現代モノもフォローするようになり、観光&仕事絡みで2回韓国にも行きました。今やうちのTVチャンネルは、ケーブルのKBS Worldがデフォルトになっているほど。けれど、いつまでたっても言葉は分からないまま。文法構造は同じだから日本人には学びやすいはずだし、TVのおかげで響きだけは何となく耳になじんでいるものの、いざ現地へ行くと食事の注文もままならない。標識も看板もメニューも読めない。過去にラジオ講座をかじったことは何度かありましたが、いつも決まって入口で挫折。テキスト買うのは最初の月だけ。ネックは、ずばり「ハングル」でした。知らない者には文様のようにしか見えないあの文字が、韓国語への道を閉ざしていたのです。

しかし、ここ2~3年、遅ればせながら韓国や台湾、中国など近隣諸国に旅するようになり、ヨーロッパより歴史的にも文化的にも共有しているものがよほど多いにも関わらず、全く言葉がわからない状態にフラストレーションを感じるようになっていました。そこで一念発起、韓国語初心者講座に通うことに。始めてみると、ハングルはなかなか面白く、この1~2週間で、とっつきにくかったあの文字が一挙に近い存在になりました。子音パーツと母音パーツの組み合わせで音を表わす構造は、確かに合理的で、よくできているなと感心します。一覧表を見ると種類の多さにたじろいでしまいますが、構造が分かれば覚えるのもそう難しくなさそう。今は、パズル感覚でドラマの出演者クレジットなどの解読を楽しんでいます。

ちなみに近年、文字を持たないインドネシアの少数民族がハングルを採用したとか。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2628377/4431390
ハングルには発音記号という面もあるので、音韻体系が近ければ、他言語への応用可能性も確かにあるだろうと思います。

というわけで、目下“ハングル萌え”状態。始まったばかりの韓国語への道、これから壁もあるでしょうが、字幕ナシでドラマが分かる、生放送KBSニュースが分かる、を目標に頑張りたいと思います。안녕!

2010-07-12

講演&ワークショップ「アートで心の健康をまもる!」ご案内

いよいよ夏本番。暑くなる季節、アートで心をリフレッシュするための講演&ワークショップのご案内です。


「もう少し元気に、生き生きと暮らしたい!」―誰しも心で願うことではないでしょうか。アートは、そんな願いを可能にするパワーをもっています。画用紙に 自由に線を引く、色を塗る、そんな簡単な行為が、ネガティブな感情を開放したり、眠っていた喜びの感覚を呼び覚ますのです。絵を通して人の心の傷つきやすさに接してきた経験から、NPO法人ライフスキル研究所では、アートによるいろいろな“心のエクササイズ”が生まれました。そのエッセンスをお伝えする講演&ワークショップを開催します。アートといえば自分には縁遠いものと思われる方も多いかもしれませんが、実はいろいろな楽しみ方、関わり方ができるものなのです。得手不得手は関係ありません。特に教育/福祉関係者は必見!多数のご参加をお待ちしております。

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日 時:2010年7月28日(水)13:00~16:00
場 所:西宮 市大学交流センター(阪急西宮北口駅ACTA東館6F)
対 象:教育関係者・福祉関係者・保護者・学生 など
参加費:無料  ※要事前申込→申込フォーム

■第1部 13:00~14:00■
講演「アートで心の健康をまもる」とは?(定員140名)
講師:小村 チエ子(ライフスキル研究所理事長・芸術療法士・カウンセラー)
豊富な事例を通して、心の成長と安定に重要なアート表現の意義を語ります

■第2部 14:00~16:00■
ワークショップ「アートでスカッと!―体感・実感アートのパワー」(定員60名)
子どもの心の成長をサポートし、コミュニケーションを深め、リラックスさせるアート体験

★詳細はコチラ(Pdf)

★お申込みはコチラ

主催/特定非営利活動法人ライフスキル研究 所
後援/大阪府教育委員会、大阪府、池田市教育委員会、西宮市教育委員会
助成/柏岡精三記念基金(大阪コミュニティ財団
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2010-04-07

イタリアで英語環境!?

毎日・・・と銘打っておいて、3月は完全に放置していました。久しぶりにイタリア絡みの、ちょっとうらやましい小ネタを一つ。

昨日、友人に聞いた話。彼女の知り合いのお嬢さん@高校生が2年間イタリアに留学するそうですが、それがアイビーリーグ進学を目指す高校なのだとか。留学するご本人は(まだ)イタリア語ができないそうですが、留学先の学校の教育は英語で行われるので問題ナシとのこと。それに、高校生というアタマのやわらかいうちに2年間もイタリアで過ごせば、まず間違いなくイタリア語もできるようになるでしょう。

イタリアで英語環境。アラフォーにもそんな環境が許されるならば、すぐに飛んで行きたいものです。

2010-03-29

名物機長の名物アナウンス

昨日、仙台から大阪(伊丹)へ帰る飛行機の機長アナウンスはすごかった。 ANAの山形機長という方ですが、軽快軽妙にしてユーモアとホスピタリティあふれるメッセージ。機内では乗客から口々に「おもろい機長やなあ」「今日の機長はえらい絵心/詩心があるなあ」などの声、そして拍手。

文言は不正確ですが、アナウンスはだいたい下のような感じです。滑らかな関西弁で繰り出される、あそび心あふれる弁舌のノリを感じてもらえれば。

●離陸前
「機長の山形です。・・・満席にもかかわらず、皆様のテキパキとしたご搭乗のおかげで、定刻に離陸いたします。・・・本日、東北地方上空には見事なダイヤモンドスカイが広がっております。・・・蔵王にはスキーに興じる人々の姿・・・ぜひ窓からご覧ください。通路側のお客様には、ぜひ心の目でご覧いただければと思います。 なお、本日は少々気流が強く、できるだけ揺れの少ないゾーンを選んで飛行してまいりますが、時には天使のいたずらか、強く揺れることもございます。 が、飛行の安全にはまっっっっっっっっっったく関係ございませんので、 ご安心ください。ここで一句、・・・・・(自作の俳句が入る) それでは安全安心の空の旅をお楽しみください。」

●着陸前
「伊丹空港混雑のため和歌山上空に誘導されておりました。ただ今、地上管制より着陸許可が出ましたので、最終の着陸態勢に入ります。 宝石をちりばめたような見事な夜空が皆様をお迎えします。 あいにく少々雲がかかっておりますが、ぜひ心の目でごらんください。 室内の明かりを一段と暗くいたします。どうぞお楽しみください。 それでは、(俳句調で) ゆりかごに ゆらり揺られて ゆったりと 着陸いたします。」

●着陸後
「皆様のテキパキしたご搭乗のおかげで、遅延を最小限に留めることができました。大阪はまだ寒さも残っています。お風邪など召されませんようお気をつけください。 皆様のご幸福ご幸運をお祈りしています。
なにわまち ・・・(やはり一句)
満面の笑顔で皆様をお送りいたします。コックピットから手を振ってお見送りいたしますので、お降りの際、少し右後方を振り返っていただければと存じます。 本日は安全安心快適な全日空をご利用いただきありがとうございました。」

振り返ると、 グレイヘアがダンディなお茶目系ジェントルマンが本当に満面の笑顔で手を振っていました。

私はこの機長を、ぜひ「大阪(関西)ブランド」に挙げたいですね。 アナウンスはアッサリ必要な事だけ言ってくれればよいと思う人もいるかもしれませんが、こんな風に笑いのツボを押さえたアナウンスは、そうそうできるものではありません。ヘタすると思いっきりスベり ますしね。顔の見えない乗客から拍手が起こるアナウンスなんて、相当の話芸です。いつからこういうアナウンスを始められたのか知りませんが、キャビンアテンダントに乗客の反応など確かめながら工夫とカイゼンを重ね、今のスタイルを作っていったのではないでしょうか。顔は見えていなくても、コミュニケーションを楽しむ関西マインドあふれたアナウンスだと思いました。笑いで飛行中の緊張をほぐす役割もあるでしょう。笑いは百薬の長。奥の深い機長さんだと感じ入りました。

ちなみにこの山形機長、操縦技術はたいへん優れています。離着陸も完璧。 アナウンスでキャラ立ちしている感がありますが、技術も素晴らしいものでした。

これだけの名物アナウンスなら、ネットにも出ているだろうなと思っていたら、果たして「ANA 山形機長」で出るわ出るわ。一度この名調子を聞きたいと願う人も多いらしく、偶然にも乗り合わせることのできた私は幸運でした。

2010-02-28

音楽で感じるイタリアの風―魔法のヴァイオリン

2月25日(木)、友人夫妻の企画・出演によるコンサート「魔法のヴァイオリンⅢ」を聴きに行きました。プログラムは、ルネサンス~19世紀に至るイタリア音楽の数々で、音楽で約400年の時間の旅ができるような内容。ホテルのチャペルで行われたこじんまりしたコンサートですが、演奏者自身による楽曲・楽器解説も興味深く、演奏も充実した、イタリアの香りあふれるひと時。ほとんど20年ぶりの友人との再会も相まって、とても楽しむことができました。



それぞれバロック・ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバの奏者である友人夫妻は、数年来イタリアに生活拠点を置いていますが、日本ではあまり知られていないイタリア音楽の魅力を伝えたいと、日本でも毎年コンサートを行っています。そのねらいどおり、ヴァイオリンの音色は、カラリと晴れ渡った明るいイタリアの空を感じさせてくれました。ヴィオラ・ダ・ガンバは安定した通奏低音でアンサンブルを支え、リュートのポロンポロンとした音色はルネサンスからバロック期の音楽の魅力を存分に伝えてくれました。ふだん目にする機会の少ない珍しい楽器もたくさん登場し、そうした意味でも楽しめる演奏会でした。

同じ楽器でも紡ぎ出される音色は千差万別。個々の楽器の個性もありますし、奏者がイメージする音色によっても全く違います。イタリア音楽の魅力は、弦であれ管であれ、楽器全体が余すところなく鳴り響いて、よく通る明るく澄んだ音色によって最大限に表現されると、私はつねづね思っています。ドイツのオーケストラなどの、どっしりした重みのある音色も、特にドイツ系の音楽の演奏に際して捨てがたい魅力がありますが、明澄そのもののイタリアの音色が奏でる音楽には、心から音楽の喜び・愉しみを実感させてくれる魅力があるのです。弾く喜び、聴く喜び―文字どおり音楽は、音の楽しみなのだと気づかせてくれます。日本のクラシックは、歴史的経緯からどうしてもドイツの影響が強く、音楽の国とはいうもののイタリア音楽についてはオペラやバロック音楽のごく一部しか知られていないのではないかと思います。友人夫妻には、まだまだ知られていないイタリア音楽の魅力を伝えるコンサート活動を、ぜひ息長く続けていってほしいと願っています。Viva la musica!

2010-02-10

【公演案内】古楽器アンサンブルのご案内

友人のコンサートのご案内です。
バロック・ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ、リュートなどのアンサンブル。
ミラノ在住ですが、毎年帰国し、日本でもコンサートを行っています。
バロック音楽が好きな方、古楽器の響きが好きな方は、ぜひ♪

======================================
Il Violino Magico ~ 魔法のヴァイオリンⅢ

日時:2010年2月25日(木) 19:00開演
会場:千里阪急ホテル クリスタル・チャペル
北大阪急行/大阪モノレール「千里中央駅」下車すぐ→アクセスMAP
料金:前売3,000円/当日3,500円(全席自由)

■プログラム
カステッロ≪ソプラノとトロンボーンまたはヴィオレッタのためのソナタ 第6≫
オルティス≪レセルカーダ集より≫
マティス≪パッサッジョ - 2弦のフーガ - グラウンド≫ 他

■演奏
バロック・ヴァイオリン  伊左治 道生
リュート&19世紀ギター 佐野 健二
ヴィオラ・ダ・ガンバ    大西 万喜

■ご予約・お問合せ
il violino magico(イル・ヴィオリーノ・マジコ) magicviolinjp@yahoo.co.jp

協力:アーリーミュージックカンパニー
後援:日本イタリア古楽協会

【公演案内】Il Violino Magico~魔法のヴァイオリンⅢ

友人の古楽器奏者のコンサート案内です。
バロック・ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ、リュートなどのアンサンブル。
ミラノ在住ですが、毎年帰国して日本でもコンサート活動を行っています。

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Il Violino Magico ~ 魔法のヴァイオリンⅢ

日時:2010年2月25日(木) 19:00開演
会場:千里阪急ホテル クリスタル・チャペル
北大阪急行/大阪モノレール「千里中央駅」下車すぐ→アクセスMAP
料金:前売3,000円/当日3,500円(全席自由)

■プログラム
カステッロ≪ソプラノとトロンボーンまたはヴィオレッタのためのソナタ 第6≫
オルティス≪レセルカーダ集より≫
マティス≪パッサッジョ - 2弦のフーガ - グラウンド≫ 他

■演奏
バロック・ヴァイオリン  伊左治 道生
リュート&19世紀ギター 佐野 健二
ヴィオラ・ダ・ガンバ    大西 万喜

■ご予約・お問合せ
il violino magico(イル・ヴィオリーノ・マジコ) magicviolinjp@yahoo.co.jp

協力:アーリーミュージックカンパニー
後援:日本イタリア古楽協会

2010-02-04

元気のもと

今宵のディナー。トルコ料理&ワインで、後輩と言いたい放題、大放談。このところ少しばかりダウン気味のお腹にもやさしい、ヘルシーディッシュの数々。食べて、喋って、エネルギーチャージ。ついでにヘタり気味のココロもチャージ。満腹満足の宵でした。Thanks! :-)

■トルコレストランNazaR http://www.nazar.jp/

2010-02-02

『千のイタリア―多様と豊穣の近代』

本屋でタイトルを見かけたとき、「然り」の意を強くしたものです。「イタリア料理というものはない、あるのは各地の郷土料理のみ」という言葉もありますが、まことにイタリアは「多様性の国」。多様性 diversity という言葉は、この国のためにあるとさえ思います。

栄光の古代ローマや輝かしいルネサンス~バロックの芸術に比べ、語られることの少ない近現代イタリアについて、19世紀後半~20世紀前半の農村を軸に語られています。近代的統一国家としての体裁を整えていく中で、各地の地域文化がどのような変化を受けたのか、移民、労働、食、衛生など様々な観点から取り上げられています。あまりにブリリアントな歴史的イタリアに飽き足らない、困難や課題も抱えるリアル・イタリアの一端に触れたい人には、興味深いのではないでしょうか。

2010-01-31

あらためて2010年の目標

気がつけば、明日から2月。立春を過ぎれば、本格的に旧年が去っていく気がします。年頭に書いた抱負よりも少~しばかり具体的に、今年の目標を書きます。

1.本と資料の整理―2006年夏の家の建替え以来、未整理のまま放置しています。棚卸しの意味も込めて、今年こそ超・整理!

2.アートセラピーとアートエデュケーションに関するプロジェクトの立ち上げ―アートセラピストの知人と協働で構想中のプロジェクト。まずはセラピストや教育者を対象にしたワークショップ企画から始めていこうと話を進めています。

3.子どもの絵に関する書籍の翻訳・出版―これも上の知人との協働プロジェクト。目下出版社探しの段階ですが、何とか形に!

4.発信力の強化―具体的には、2002年に立ち上げたNPOのPRを強化し、知名度を上げる。個人としても発信力を高めたいです。

5.ライフワークとライスワークの融合―今までもずっと課題でしたが、今年はこの命題に関し、腹をくくる年になりそうです。すぐに実現することではないだけに、日々の心構えや行動の積み重ねがものを言う。今まで中途半端にしてきたことを、本気でやるのか、ケリをつけるのか。本気の決断の時期です。

それから、ちょこっと深追いしてみたいネタをいくつか。

1.小津安二郎のオモシロさ―小津の映画は「笑える」。何となく、美しい日本の心、というようなイメージ捉えられている感のある小津映画ですが…。私にとって小津は、最高に笑える世界。そのオモシロさを深追いしてみたいと思っています。

2.須賀敦子と関西―いわずと知れたイタリア文学者の須賀敦子さんですが、生まれ育ちは兵庫県西宮市です。彼女と関西の関わりに関心があります。再読も含めて、須賀敦子×関西を深追いしてみます。

3.過去のアートワーク作品の考察―これまでワークショップや個人セッションで制作してきた自分のアートワークを整理し、振り返り、これからの道行きを見定める指標にしたいと思います。

2010-01-27

西洋美術のナゾ―裸体表現をめぐる旅

本日、NPO法人シニア自然大学校主催のシニアCITYカレッジにて、西洋美術についてのレクチャーをしてきました。同NPOが大阪教育大学との協働により、シニアの方々を対象に開講している連続講座で、環境問題や時事問題から歴史・文化・芸術まで幅広い領域をカバーしています。昨年に続いて3回目の出講でしたが、50数名の受講者は皆さんひじょうに熱心で、近年の中高年層の知的好奇心、学習意欲の高さを実感します。レクチャー2時間+ディスカッション2時間=合計4時間の長丁場ですが、反応もよく、議論も活発な場の空気には、まったく疲れを感じません。

今回のテーマは、裸体画(nude)。裸体表現は西洋美術の基本であり、西洋美術に影響を受けた今日の美術において、裸体デッサンは画家の基本的トレーニングです。しかし、、、ごくごく素直な目で西洋美術の一群を眺めたとき、その裸体表現の多さには素朴な「?」もわいてくるのではないでしょうか。西洋美術を見慣れた現代人は、そういうものだ、と思っているかもしれません。それでも、マネの<草上の昼食>を生まれて初めて見るときの衝撃は、本作発表当時(1863年)の人々とそんなに変わらないのではないでしょうか。(実際、私が小学生のころ初めて画集でこの絵を見たときは、一体なんちゅー絵!?と、えらくビックリしたものです。)ドラクロワの<民衆を率いる自由の女神>が、あの緊迫した事態の中で一人胸をはだけているのも、考えてみればフシギです。事実、西洋美術に初めて本格的に取り組んだ近代日本の画家にとって、裸体表現をどのように自分たちのものにするかは、芸術上の大きな課題でした。


現実のシーンとしては想定しがたい、こうした裸体表現の数々。なぜこれらの人物は裸体なのか?同じ裸体画でも、絶賛された作品と非難轟々だった作品と、 何がどう違うのか?そんな西洋美術の根幹をなす裸体表現を、古代ギリシアのクーロス、コレー像から近現代まで俯瞰するという時間軸の長~い内容。しかも最初プロジェクターが不調で満足に画像も見られなかったのですが、皆さんたいへん興味をもって聞いてくださり、グループ・ディスカッションでも多彩な意見が飛び交いました。受講者の皆様の西洋美術への親しみが増し、見る楽しみ・喜びが深まったならば本望です。

2010-01-04

スターバックスはイタリア生まれ!?

シアトルが世界に誇るコーヒーショップ・チェーン、スターバックス。もともとコーヒー豆の卸売をしていたスターバックス社を今日のような世界的チェーンにしたのは、現CEOハワード・シュルツ氏の功績ですが、そのシュルツ氏が今のようなコーヒーショップのスタイルを思い立った原点は、イタリアのバール体験だったそうです(→参考 Pdf)。そう、スタンディング・バーで、あるいはオープン・スペースのテーブル席で、カフェやアルコールを味わい、コミュニケーションを楽しむ、あのバール。イタリアの町になくてはならない、あのバールです。そのカルチャーに感銘を受けたシュルツ氏は、ぜひこんな店をアメリカでも開きたいと考えたそう。早速スターバックス社に掛け合うも、最初は取り合ってもらえなかったとか。その後しばらくして売りに出されたスターバックス社をシュルツ氏が買い取り、卸からコーヒーショップへと業態転換し、イタリアのバールのような、地域のうるおい空間として、コーヒーショップを展開していったそうです。

昨年12月、スターバックス コーヒー ジャパンCEO岩田松雄氏の講演会で聞いたお話。岩田氏は私の出身高校の卒業生で、この講演会は、各界で活躍する卒業生を呼んでお話を聞くトークリレーの一つでした。岩田氏は日産自動車を振り出しに転身を重ねられ、タカラやボディショップなどを経て2009年6月から現職、本当にキャリアアップの鑑のような方ですが、話しぶりもお人柄もとても気さくで、気負ったところがなく、自然でさりげないのに刺激的なトークでした。リーディングパーソンが自分の歩んできた道を、思春期にまでさかのぼって語るのを聞く機会はなかなかありませんから、貴重なひと時でした。

話をスタバに戻すと、私が高校の英語教師をしていたころ、シアトル出身の同僚がよく“I miss Starbucks coffee.”とつぶやいていました。当時は日本進出して間もない頃で、東京にチラホラ、関西には店舗はほとんどなかったのです。その後破竹の勢いで増え始め、10年も経たないうちに至るところスタバを見かけるようになりました。スタバというと、生徒たちに出身地シアトルの紹介をするたび Starbucks と Microsoft を挙げていた彼女を思い出します。

ふーむ、Starbucks ってそんな旨いのか、イタリアのコーヒーより旨いのだろうか、と思っていたら、一方でアメリカ在住経験のある人からは、Starbucks がなぜアメリカであれほど受けたか、それは従来のアメリカのコーヒーがあまりにもヒドかったからだ、というような話を聞いたこともあります。それまでアメリカでコーヒーといえば、淹れてから何十分も放置され、煮詰まったものが普通だったところに、挽きたて、淹れたてのコーヒーを出す Starbukcs が現れ、アッという間にグルメコーヒーとして広まった、と。ならば、独自の焙煎やドリップに凝る職人肌のマスターが黙々とやっている喫茶店の伝統がある日本では、それほどのインパクトはないかなと思っていたら、あれよあれよという間に広まっていきました。私自身はそれほどスタバを利用しないのですが、コーヒー一杯で友人とちょっと長話したいときなど^_^;重宝しています。

ちなみに、件の講演で提示された資料に、世界各国のスタバ店舗数のデータがありましたが、上位20カ国ほどの中にイタリアとフランスは見当たりませんでした。やはり、もとから旨~いコーヒーのある国では、スタバもあまり需要がないということでしょうか。スタバの経営理念や経営方針は立派だと思いますが、もしイタリアのバールがスタバに駆逐されてしまったとしたら…それはちょっと考えたくないシチュエーションです。これからも、スタバはスタバの、バールはバールの、それぞれの道を歩いていってほしいものです。

2010-01-01

枠をはずす―新年によせて

明けましておめでとうございます。2010年が始まりましたね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。実は私は一日早く、12月31日に相方の実家で年賀の宴を済ませました。義姉夫妻の仕事の関係で1日に集合できないため、皆のスケジュールが会う31日の昼から忘年会、夕方から新年会、という具合。去年のも一昨年もこのパターンで、今やすっかり1日前倒しのお正月に慣れてしまいました。何とはなしに1日トクした気分で、今日はごく静かに過ごしております。

さて、今年のテーマは、「枠をはずす」と決めました。「枠」というのは、知らず知らずのうちに持っている思い込みやカベ、境界のようなものです。「自分という枠」といっていいかもしれません。自分をしっかり持つというのはとても大事なことなのですが、あまりにも「自分」に意識が向きすぎるのも何だか窮屈だなあ、と。そして、「ああ、はずしたいな」と。年末に、グループであるアートワークをやっていたときに、ふとそんな思いに駆られました。「超える」とか「こわす」というのではなく、「はずす」「はずれる」という感じ。あまりうまくいえないのですが、自分の限界を超えるとか、古い自分を壊して新しい自分を開くとか、そういう、いかにも意志的で、暑苦しい(!?)作用ではなく、はずれるべきものをはずす、自然にはがれるような感じ。毛が生え変わったり、脱皮したり、今までは確かに必要であったものが、今は必要なくなって自分の身からはずれていく。そんなふうに、自然のサイクルの一環として、今までの自分の殻がポロリとはがれる―そんなイメージが浮かんだのです。そして、それが妙に心から離れず、そうだ、2010年のテーマにしよう、と決めました。

具体的には、あまり「自分」のことを考えない、なるべく「自分」という存在を忘れている、そんな心持ちで過ごすということです。私は基本的にかなり「自分」追求型の人間で、今までこんなふうに思ったことはありませんでした。いかに「自分」をしっかりと持ち、「自分」で物事を決め、「自分」で行うか(うーん、暑苦しいですねぇ…笑)。意識せずとも、つねにそれがテーマだったように思います。もっとも、何をどうやっても自分は自分でしかない、とも言えるでしょうが、少なくとも「自分」(かっこ付きの自分)には、もうオサラバだな。これが実感でした。その先に、今までと違った自分のあり方が立ち現れてくるのかもしれないし、そんなものはないのかもしれない。けれど、「自分」意識が(人一倍)強かった私に訪れた、この心的変化は、私にとってちょっと不思議であり、だからこそ見逃せないものです。何年かぶりで訪れた内側からの心的変化に、忠実に沿うて生きたいと思っています。

以上、抽象的な表現ではありますが、2010年の所信表明でした。今年もどうぞよろしくお願いします。皆々様のご健康とご多幸を心よりお祈り申しあげます。