2010-02-02

『千のイタリア―多様と豊穣の近代』

本屋でタイトルを見かけたとき、「然り」の意を強くしたものです。「イタリア料理というものはない、あるのは各地の郷土料理のみ」という言葉もありますが、まことにイタリアは「多様性の国」。多様性 diversity という言葉は、この国のためにあるとさえ思います。

栄光の古代ローマや輝かしいルネサンス~バロックの芸術に比べ、語られることの少ない近現代イタリアについて、19世紀後半~20世紀前半の農村を軸に語られています。近代的統一国家としての体裁を整えていく中で、各地の地域文化がどのような変化を受けたのか、移民、労働、食、衛生など様々な観点から取り上げられています。あまりにブリリアントな歴史的イタリアに飽き足らない、困難や課題も抱えるリアル・イタリアの一端に触れたい人には、興味深いのではないでしょうか。

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