2010-02-28

音楽で感じるイタリアの風―魔法のヴァイオリン

2月25日(木)、友人夫妻の企画・出演によるコンサート「魔法のヴァイオリンⅢ」を聴きに行きました。プログラムは、ルネサンス~19世紀に至るイタリア音楽の数々で、音楽で約400年の時間の旅ができるような内容。ホテルのチャペルで行われたこじんまりしたコンサートですが、演奏者自身による楽曲・楽器解説も興味深く、演奏も充実した、イタリアの香りあふれるひと時。ほとんど20年ぶりの友人との再会も相まって、とても楽しむことができました。



それぞれバロック・ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバの奏者である友人夫妻は、数年来イタリアに生活拠点を置いていますが、日本ではあまり知られていないイタリア音楽の魅力を伝えたいと、日本でも毎年コンサートを行っています。そのねらいどおり、ヴァイオリンの音色は、カラリと晴れ渡った明るいイタリアの空を感じさせてくれました。ヴィオラ・ダ・ガンバは安定した通奏低音でアンサンブルを支え、リュートのポロンポロンとした音色はルネサンスからバロック期の音楽の魅力を存分に伝えてくれました。ふだん目にする機会の少ない珍しい楽器もたくさん登場し、そうした意味でも楽しめる演奏会でした。

同じ楽器でも紡ぎ出される音色は千差万別。個々の楽器の個性もありますし、奏者がイメージする音色によっても全く違います。イタリア音楽の魅力は、弦であれ管であれ、楽器全体が余すところなく鳴り響いて、よく通る明るく澄んだ音色によって最大限に表現されると、私はつねづね思っています。ドイツのオーケストラなどの、どっしりした重みのある音色も、特にドイツ系の音楽の演奏に際して捨てがたい魅力がありますが、明澄そのもののイタリアの音色が奏でる音楽には、心から音楽の喜び・愉しみを実感させてくれる魅力があるのです。弾く喜び、聴く喜び―文字どおり音楽は、音の楽しみなのだと気づかせてくれます。日本のクラシックは、歴史的経緯からどうしてもドイツの影響が強く、音楽の国とはいうもののイタリア音楽についてはオペラやバロック音楽のごく一部しか知られていないのではないかと思います。友人夫妻には、まだまだ知られていないイタリア音楽の魅力を伝えるコンサート活動を、ぜひ息長く続けていってほしいと願っています。Viva la musica!

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