2018-01-30

旧姓併記パスポートの取得

今般、パスポートの申請・名義変更を機に、旧姓併記のパスポートを取得しました。

パスポートへの別名併記は、現時点では一定の条件のもと、あくまで例外的に認められる措置ではありますが、国際結婚をした人や海外で旧姓を使って仕事をしている人を中心にニーズがあります。かつては国際的に相当著名な学者やジャーナリストでなければ併記は認められませんでしたが、近年はずいぶん門戸が広がってきたようです。

私はずっと旧姓で仕事をしています。晩婚だったこともあり、今なお社会人生活の大半が旧姓によっており、パスポートも昨年期限が切れるまで旧姓のままでした。友人でも私の現姓を知っている人の方が少ないぐらいです。新しいパスポートの申請にあたり、いよいよ戸籍姓に名義変更することになりますが、諸々の便宜を考えて、旧姓を併記しておきたいと思っていました。

手続きの要領(必要な添付書類など)は、申請窓口の都道府県によって多少違うようですが、検索でヒットする体験者のブログ記事は東京都の事例がほとんどで、大阪府で取得した人の記事が見あたらなかったので、参考までに書いておきます。

結果からいうと、大阪府はちょっと拍子抜けするほどアッサリしていました。事前にパスポートセンターに電話をして確認したところ、旧姓使用証明書(旧姓で仕事をしており、業務上海外渡航の必要があることの証明)があればよいとのことでした。勤務先の代表者や所属長に証明してもらうのですが、私は自分が団体(NPO法人)の代表なので、自分で自分を証明することになるが、それでも大丈夫かと念を押したところ、OKとの返答。それで早速、大阪府のサイトに載っている書式例にしたがって書類を作成し、法人の印を押して証明書を作成しました。

これだけで良かったのかもしれませんが、いちおう第三者の証明書もあった方が確実だろうと思い、念のため非常勤先の大学にも旧姓使用証明書を発行してもらいました(大学の書式で、旧姓を使用していることの証明のみ)。実際に手続した感触では、こちらは無くても良かったみたいですが、いちおう提出しました。

体験者のブログでは、役所に言われたとおり書類を揃えていったのに、窓口で足りないと言われた、などの話を散見したので、念のため(上記証明書のほかに)国際会議のエントリーのメールなど証拠になりそうなものも用意して、申請窓口へ行きました。結果的にそれらは必要なく、特に提示も求められませんでした。

都道府県によっては、事情説明書等の提出が必要なところもあるようですが(ex.東京都)、少なくとも大阪府パスポートセンターでは旧姓使用証明書(と口頭での説明)だけでOKでした。

2019年度をメドにパスポートへの別名併記を自由化するとの方針が示されたので、今後はいっそう審査基準も緩和されていくのではないかと思います。
https://www.asahi.com/articles/ASK505634K50ULFA01X.html

もし切り替えのタイミングが来年以降だったら、話はさらに簡単だったかもしれません。原則的には申請のみで併記を認める方針のようですので、そうなれば上のような証明書も余分の手続きも不要になることでしょう。今後の成り行きを注視しましょう。

なお、旧姓併記パスポートの申請や使用にあたっては、下記の点に要注意です。

■旧姓は括弧書きで戸籍姓の横に印字されますが、ICチップには登録されません。よって、航空券予約等の際には、どの氏名表記で予約するか航空会社や旅行代理店に確認が必要です。(旧姓を含めるのか含めないのか、など。)

surname □□□(△△△) ←括弧内が旧姓
name   ○○○

■現在は多くの市町村でパスポートの申請・交付ができるようになりましたが、外務省との協議を要する特殊な案件については、(従来どおり)都道府県の対応になるようです。市の窓口に確認していないので断言はできませんが、旧姓併記はいちおう審査を要する案件なので、おそらく特殊な案件に該当するであろうと推察し、初めから府のパスポートセンターに問い合わせました。(そもそも市町村より都道府県の職員の方が対応件数も多く、特殊案件にも明るいと考えられます。)

■自筆署名では、現姓と旧姓の併記はできません。日本語でもローマ字でも、括弧書きで旧姓を併記したり、複合姓のような形にはできないとのことです。ただし、現姓か旧姓かは、どちらを使ってもよいそうです。よって、現姓 or 旧姓のどちらかで自署することになります。(自己責任のもと)どちらでサインしてもよいと窓口で言われ、混みあうカウンターでしばし迷った末、自筆署名は日本語の戸籍名にしました。

●その他もろもろ、入国審査や宿泊先等で本人確認に関して疑義がもたれたりした場合など、基本的にはすべて自己責任で対応することになります。

いずれにしても現時点ではあくまで例外的な措置ということで、実際にどの程度の実質的価値があるかは分かりませんが(思ったほどメリットがないという体験談もチラホラ…)、少なくとも旧姓と現姓の連続性を証明する公文書ではあるので、国内外を問わず社会人生活のほぼ9割がたを旧姓で営んでいる自分にとっては、一定のご利益はありそうです。

以上、大阪府で旧姓併記パスポートの取得を考えている方へのご参考まで。

※あくまで一個人のケースであり、個別の事情に応じて、提出を求められる書類等が異なる可能性がありますので、旧姓併記を望される方は必ず所管のパスポートセンターにお問い合わせください

<参考>
大阪府/別名併記の取扱い
http://www.pref.osaka.lg.jp/passport/top/betsumei.html
外務省/パスポートQ&A
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pass_4.html#q16

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