2009-12-15

抱腹絶倒!日伊伝統喜劇の競演

12月12日(土)、COMMEDIA合戦 狂言vsイタリア仮面劇を観てきました。プログラムの冒頭に狂言、コンメディア・デッラルテについてそれぞれの演者から説明があり、続いて狂言「伯母が酒」(小笠原 匡)、コンメディア・デッラルテ「二人の主人を一度に持つと」 Il Servitore di Due PadroniC.ゴルドーニ作)からアルレッキーノ演じる1シーンの上演(アンジェロ・クロッティ)、そして締めが本企画の目玉である狂言&コンメディアのコラボレーション新作「TONTO盗人(とんと ぬすっと)」(小笠原 匡、アンジェロ・クロッティ、ワークショップ参加者の皆さん)です。

秘伝のお宝満載、難攻不落の厳重警備が自慢の大阪のとある博物館に、
イタリア人&日本人の泥棒コンビが客に紛れて侵入。
手間取っているうちに、物音を聞きつけた館長が伝家の宝刀を持って現れ…
(新作「TONTO盗人」より)

ごぞんじ狂言は、能と同じく猿楽から発展した、滑稽で風刺的な笑劇。コンメディア・デッラルテは、ルネサンス期の北イタリアに発祥し、16~18世紀にかけてヨーロッパで流行した即興劇。日伊の伝統的なこの二つの喜劇の共通点は、ともに仮面を使うことです。 いずれもセリフが重要な役割をもつ演劇ですが、「TONTO盗人」では、狂言の様式化された謡や動作と、コンメディア・デッラルテの饒舌なセリフ回しや素早い動きが自然な形で組み合され、また言葉が分からないもの同士(日本人お館長とイタリア人の盗人)のトンチンカンな意味の取り違えなども織り交ぜて、言葉が分かっても分からなくても楽しめるように構成されていました。

この新作には小笠原さん、アンジェロさんの他、公演に先立って行われたワークショップ(12/7~11)の参加者も出演されていましたが、皆さんなかなか芸達者、特に盗人の相棒役はセリフも多く、アンジェロさんとの掛け合いも巧みで、アマチュアとは思えない活躍ぶり。私はその前夜、1回だけワークショップに参加したのですが、その時間の後半が「TONTO盗人」の稽古に当てられており、舞台づくりのプロセスをほんの少し共有していたので、最終的にどう仕上がったのか楽しみにしていました。私も出演のお誘いをいただいたのですが、今回は客席で見たかったので辞退、本番では大人しく客席に端座。だったのですが、客席を巻き込んだ1シーンで、ちょっとばかりいじられて、、、思いがけず友情出演(!?)も果たしました。そんなこんなの、アドリブ感あふれる抱腹絶倒のステージでした。

最後に主催者からは、この企画を今年だけで終わらせず来年、再来年…と継続したい、との言葉。ぜひそうなることを願っています。

参考■和泉流狂言師 小笠原匡(アトリエオガ)ホームページ

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