2011-09-05

カンディンスキーとキルトパーティ

かなり旧聞。6月1日&22日、シニアCITYカレッジの美術講座(NPO法人シニア自然大学校主催)でレクチャー&ワークショップを行いました。毎年1~2回さまざまな美術についてお話しする機会をいただいており、いつも大変熱心な受講生の皆さんに触発されます。

これまでは主に西洋の伝統的な美術を取り上げてきましたが、今回は受講2年目のアドバンスコース対象なので、あえてなじみが薄そうな抽象絵画を取り上げました。ちょうど兵庫県立美術館で「カンディンスキーと青騎士」展開催中で、1日は見どころレクチャー&鑑賞、22日は抽象絵画に関するレクチャー&ワークショップを行いました。 

抽象画というのは、今でも多くの人にとって「とっつきにくい」絵画の一つではないでしょうか。何を描いてあるのか?何を考えて描いたのか?何を感じればいいのか?アタマの中にいくつもの「?」が駆けめぐり、どう反応したらいいかわからず、途方に暮れてしまう…「美しい」のかどうかもよくわからない…

けれど、20世紀になって、絵画が抽象にたどりついたのには、それなりの経緯や必然性があるはずです。ロシア出身のワシリー・カンディンスキー(1866-1944)は、抽象絵画の父。しかし、彼が抽象に至るまでには、どのような軌跡があったのでしょうか。それを知ることで、抽象への目もぐっと開かれるでしょう。そういう意味で、此度の展覧会は、抽象誕生のプロセスや各画家の画業の変遷、当時の美術界のダイナミズムなどが重層的に浮かび上がる、とても興味深い展覧会でした。私自身、あらためて抽象との出会いがありました。

 

面白かったのは、22日午後のワークショップ。巨匠の作品を堪能した後は、われこそが巨匠!ということで“自分流”抽象絵画に挑戦しました。アートセラピーの手法を取り入れた、上手下手無用のグル―プワークは大変好評で、会場には参加者の笑いさざめきが響き渡り、ファシリテーターの私まで楽しくなってしまいました。受講者は年配の方が多いので、クレヨンやクレパスを使ったアートワークの反応はどうだろう…と、内心少々不安でしたが、そんな不安もどこ吹く風、各グループみるみる盛り上がり、ちょっとしたパーティさながらでした。


そんな光景を見て、ふと思い浮かんだ言葉が「キルトパーティ」。アメリカ開拓時代、女性たちが集まっておしゃべりに興じながら、大きなパッチワーク・キルトを仕上げる、あのキルトパーティです。手を動かしていると自然と話も弾みますし、アートワークならば描いたモチーフをネタにしていろいろと会話が発展していきます。老若男女問わず、こんなふうにアートしながらコミュニケーションもできる場があれば、脳も心も活性化するはず。コミュニティの中に、そのようなスポットがあれば…!仕掛けを考えているところです。

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