2010-03-29

名物機長の名物アナウンス

昨日、仙台から大阪(伊丹)へ帰る飛行機の機長アナウンスはすごかった。 ANAの山形機長という方ですが、軽快軽妙にしてユーモアとホスピタリティあふれるメッセージ。機内では乗客から口々に「おもろい機長やなあ」「今日の機長はえらい絵心/詩心があるなあ」などの声、そして拍手。

文言は不正確ですが、アナウンスはだいたい下のような感じです。滑らかな関西弁で繰り出される、あそび心あふれる弁舌のノリを感じてもらえれば。

●離陸前
「機長の山形です。・・・満席にもかかわらず、皆様のテキパキとしたご搭乗のおかげで、定刻に離陸いたします。・・・本日、東北地方上空には見事なダイヤモンドスカイが広がっております。・・・蔵王にはスキーに興じる人々の姿・・・ぜひ窓からご覧ください。通路側のお客様には、ぜひ心の目でご覧いただければと思います。 なお、本日は少々気流が強く、できるだけ揺れの少ないゾーンを選んで飛行してまいりますが、時には天使のいたずらか、強く揺れることもございます。 が、飛行の安全にはまっっっっっっっっっったく関係ございませんので、 ご安心ください。ここで一句、・・・・・(自作の俳句が入る) それでは安全安心の空の旅をお楽しみください。」

●着陸前
「伊丹空港混雑のため和歌山上空に誘導されておりました。ただ今、地上管制より着陸許可が出ましたので、最終の着陸態勢に入ります。 宝石をちりばめたような見事な夜空が皆様をお迎えします。 あいにく少々雲がかかっておりますが、ぜひ心の目でごらんください。 室内の明かりを一段と暗くいたします。どうぞお楽しみください。 それでは、(俳句調で) ゆりかごに ゆらり揺られて ゆったりと 着陸いたします。」

●着陸後
「皆様のテキパキしたご搭乗のおかげで、遅延を最小限に留めることができました。大阪はまだ寒さも残っています。お風邪など召されませんようお気をつけください。 皆様のご幸福ご幸運をお祈りしています。
なにわまち ・・・(やはり一句)
満面の笑顔で皆様をお送りいたします。コックピットから手を振ってお見送りいたしますので、お降りの際、少し右後方を振り返っていただければと存じます。 本日は安全安心快適な全日空をご利用いただきありがとうございました。」

振り返ると、 グレイヘアがダンディなお茶目系ジェントルマンが本当に満面の笑顔で手を振っていました。

私はこの機長を、ぜひ「大阪(関西)ブランド」に挙げたいですね。 アナウンスはアッサリ必要な事だけ言ってくれればよいと思う人もいるかもしれませんが、こんな風に笑いのツボを押さえたアナウンスは、そうそうできるものではありません。ヘタすると思いっきりスベり ますしね。顔の見えない乗客から拍手が起こるアナウンスなんて、相当の話芸です。いつからこういうアナウンスを始められたのか知りませんが、キャビンアテンダントに乗客の反応など確かめながら工夫とカイゼンを重ね、今のスタイルを作っていったのではないでしょうか。顔は見えていなくても、コミュニケーションを楽しむ関西マインドあふれたアナウンスだと思いました。笑いで飛行中の緊張をほぐす役割もあるでしょう。笑いは百薬の長。奥の深い機長さんだと感じ入りました。

ちなみにこの山形機長、操縦技術はたいへん優れています。離着陸も完璧。 アナウンスでキャラ立ちしている感がありますが、技術も素晴らしいものでした。

これだけの名物アナウンスなら、ネットにも出ているだろうなと思っていたら、果たして「ANA 山形機長」で出るわ出るわ。一度この名調子を聞きたいと願う人も多いらしく、偶然にも乗り合わせることのできた私は幸運でした。

1 件のコメント:

きよこ さんのコメント...

そんな名物アナウンス機長の便にに乗ってみたいものです!