2009-12-16

Commedia dell'Arte って?

昨日に引き続きコンメディア・デッラルテ関連です。けど、コンメディア・デッラルテって何?12日の狂言vsコンメディア・デッラルテのコラボ公演では、出演者のアンジェロ・クロッティさんからかなり詳しい解説がありました。せっかくなので、この機会にコンメディア・デッラルテの概要を少しまとめておきたいと思います。

コンメディア・デッラルテ commedia dell'arte は、16世紀の中頃、北イタリアに発祥した即興仮面劇です。ちょうどルネサンスが最盛期を迎え、後期へと移行していくころですね。中世までの演劇は教会が取り仕切っており、演劇活動にはかなりの制限がありました。ルネンサンス期の人間観の転換が、コンメディア・デッラルテのような風刺のきいた自由な芝居を可能にしたのです。

この即興仮面劇はヨーロッパ全体に広がり、16~18世紀にかけて大流行しました。イギリスのシェイクスピア W.Shakespeare (1564-1616)やフランスのモリエール Molie`re (1622-1673)にも影響を与えたといわれますが、特に18世紀ヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴルドーニ Carlo Goldoni (1707-1793)はコンメディア・デッラルテに多大の影響を受け、またコンメディア・デッラルテに新風を吹き込んだ重要な作家です。それまで簡単な筋書きと決まりがある以外は、ほとんど役者の即興で演じられていたのが、ゴルドーニによって台詞のある台本が書かれ、登場人物の性格づけにも深みが与えられました。

やがて、演劇としてのコンメディア・デッラルテは廃れていきますが、例えば、主要登場人物のアルレッキーノから道化役が生まれ、コンメディアから離れてキャラクターとして自立していくなど、その水脈はしっかりと受け継がれています。

20世紀に入り、世界的な演出家ジョルジョ・ストレーレル Giorgio Strehler (1921-1997)がゴルドーニの作品『二人の主人を一度に持つと』 Il Servitore di Due Padroni を発掘・再演し、コンメディア・デッラルテの伝統が新しい形で現代に甦ったと言われています。

ちなみにこの arte という言葉、今日いうところの芸術を意味するものではなく、職業という意味。つまり commedia dell'arte とは、職業的演劇という意味になります。もともと物売りが仮面を着けたり派手な衣装を着て人目を引き、巧みな口上を述べながら商品を売り歩く・・・そんな形から発展し、やがてもっぱら演じることを生業とするプロの役者が誕生していったということです。行き交う通行人の耳目を集め、その場に引き留めなければお金ももらえませんから、ストーリーは誰にも親しみのある分かりやすいテーマ、そして台詞やアクションは必然的に誇張されたものになります。

筋書きは、大体決まったパターンがあり、登場人物も身分や出身地、性格傾向に応じて類型化されています。ストック・キャラクターと呼ばれるこれらの登場人物の中から、道化役やピエロなどのキャラクターが誕生しました。その意味で、コンメディア・デッラルテは、ヨーロッパの喜劇あるいは喜劇的キャラクターの母体といえるでしょう。

◆コンメディア・デッラルテのキャラクターについてはコチラ

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