2011-08-23

アートで心の健康をまもる2011 講演&ワークショップ報告

遅ればせながら、私どものNPO主催のイベント報告です。去る7月29日、大阪・天満橋のドーンセンターにて「アートで心の健康をまもる2011 講演&ワークショップ」を開催、盛況のうちに終了しました。“アート×心の健康”をテーマに、講演&ワークショップを組み合わせたイベントは、2007年3月の初開催以来4回目。教育や福祉関係の方を主な対象に、アートと心の関係についての知見を深めていただき、現場で活用できるワークを体験していただこうというねらいです。

第1部の講演「教育現場におけるアートを用いた子どもの理解と支援」では、奈良教育大学准教授の市来百合子氏に、カウンセリング・マインドとの関連からアートセラピーについてお話しいただきました。参加者は小学校や幼稚園の先生が多く、元来、指導マインドが本分である教師に、カウンセリング・マインドも求められる日本の教育現場の大変さに言及しながら、アートという非言語的表現が内面のモヤモヤを吐き出したり、コミュニケーションを深めるのに有効な方法であること、またその実践事例が紹介されました。

第2部のワークショップでは、グループの親和性を高め、協力や連携のトレーニングにもなるグループワークを行いました。ウォーミングアップの線引き遊びや自分の好きなものをイメージするアートワークのあと、6名程度のグループに分かれて「自分たちの理想の島」づくりに取り組みました。グループワークの特長は、個人ワークに比べて参加者の活性化の度合いが高く、メンバー同士の打ち解けるのが早いこと。手を動かしながら問わず語りに話が始まり、初めはカタく緊張気味だった場の空気が、またたく間に動きはじめ、素早く自然な形でコミュニケーションが促されます。ワークショップの前と後で、皆さんの顔つきが驚くほど違っていたのが印象的でした。

上手下手に関わらず、人はアートを通して、自己の内面を語り、気持ちを整理し、気づきを得ることができます。アート・ワークショップにおいて、参加者は総じて自分自身に関して驚くほど雄弁になります。たいていの人は普段の生活であまり自分のことを語ることはないと思いますが、アートという表現機会を得ることで、言葉による表現の回路も開かれるかのようです。もちろん、それには適切な場の設定やファシリテーションが必要であることは、いうまでもありませんが。

さて、来年は何をテーマにしようか!?実際、そろそろ次の事業計画を考え始めないといけない時期です。秋は助成金情報も増えるし、彼岸もクリスマスも正月もまだだけど、秋の足音が聞こえ始めると、来年度がチラついてきます。妄想は際限なく膨らめど、資金調達を考えると現実に引き戻される、シビアな秋がもうすぐそこです。

2011-08-14

韓ドラ覚え書―時代劇編

여러분,안녕하세요? 오래간만입니다. 
(ヨロブン、アンニョンハセヨ。オレカンマニムニダ)
皆さん、こんにちは。お久しぶりです。

すっかりご無沙汰していました。鳴りを潜めていた間にも韓国語の勉強は着々と(!?)進んでいて、現在形のひととおりの語尾を追え、尊敬語に入りつつあるところですが、更新が追いつかず放置プレイに…

ここで、それらの表現をまとめればベストなのですが、気力がないので、今までに見た韓ドラの覚え書きなどつけておこうと思います。

気がつけば『チャングム』から始まった韓ドラ道も、かなり年季が入ってきました。これまでに見た番組も相当の数になります。日本の番組は殆どみていないのに、韓流はかなりヘビーなフォローぶり。せっかくなので、この際ふりかえってみることにしました。

まずは時代劇から。王朝別に整理してみます。

日本では、かの『水戸黄門』がついに打ち切られることになりましたが、韓流時代劇はますますパワフル。どんどん大河ドラマを投入してきます。KBS Worldでは先日、百済全盛期の『近肖古王』(근초고왕/クンチョゴワン)が終わったと思ったら、入れ替わりに高句麗の雄『広開土太王』(광개토태왕/クヮンゲトテワン)が始まりました。時代的にもちょうど繫がっていて、登場人物もオーバーラップしています。

時代劇から韓流にハマりだしたこともありますが、現代モノより時代劇の方が、総じて見ごたえがあります。ストーリーが壮大で重厚なのと、老若問わず巧い役者が多いからです。ただ、超長編が多いのと、歴史的事件や人物関係が複雑に絡み合って、ドラマ展開についていくのがなかなか大変。また、同じ事件、人物でも、ドラマによってかなり違う解釈がなされていたりして、興味深くもあり、知らないと混乱する点でもあります。

こうした隙をついて、しっかりムックが出ているあたり、おそるべし韓流商法といったところ(右サイドバー参照)。が、なかなか侮れません。主な王朝の興亡や王統の系譜、ドラマ頻出の歴史的事件や人物のアウトラインを押さえておくだけで、グンと楽しみ度がUPします。役立ってます。

■高句麗・百済・新羅

『近肖古王』(근초고왕/クンチョゴワン)
時代:百済中期 4世紀
半島南部の小国だった百済を飛躍的に発展させ、積極的な外征を行うとともに、貴族勢力を抑えて中央集権的な国内統治体制を整えて、北の強国高句麗に比肩する国へと導いた百済第13代近肖古王。最大のライバルだった高句麗代16代故国原王 高斯由(고사유/コ・サユ)との生涯をかけた男の戦いと、常に国を分裂の危機にさらす貴族勢力とせめぎ合いがドラマの柱。

『広開土太王』(クヮンゲトテワン)
時代:高句麗中期 4世紀
好太王とも呼ばれる、高句麗最盛期の第19代広開土太王の一代記。広開土太王は、近肖古王のライバルだった斯由の孫。近現在放映中。まだ第1話が放映されたばかり。

『善徳女王』(ソンドクヨワン)
時代:新羅中期 6世紀
朝鮮半島史上最初の女王と言われる、新羅第○代王徳曼(トンマン)こと善徳女王。やがて百済・高句麗を滅ぼし念願の三韓統一を果たす前夜の新羅が舞台。男女の愛を越えて大義のために尽くす一途な金庾信(김 유신/キム・ユシン)と、圧倒的なカリスマ性でトンマン以前の新羅を率いた超魅力的敵役ミシル。この2人とトンマンの関係がドラマの軸。トンマン&ユシンの愛の通奏低音、そしてトンマンvsミシルの覇権をかけた女の戦い。特に権力の座をめぐって全力を懸けた戦いに挑むトンマンvsミシルの関係は、詰まるところ「愛」といってもいいほどの、敵味方を超越した濃密なものでした。

海神(해신/ヘシン)
時代:統一新羅末期 9世紀
唐から新羅、日本にまで及ぶ広大な海路を開き、富と権力をなした海の英雄チャン・ボゴの一代記。貧しい海賊上がりのクンボクが、剣闘奴隷に身を落とされたりしながらも不屈の精神でのし上がり、やがて王にも匹敵するような力を手にする。息をつかせぬ展開に、寝不足確実のフュージョン時代劇。主演チェ・スジョンの目力演技と、ソン・イルグクの陰のある悪役が光る。

■高麗

千秋太后(チョンチュテフ)
時代:高麗初期 10~11世紀
登場する歴史エピソード:遼(契丹)との抗争、金致陽(キム・チヤン)の乱など
高麗第5代景宗の妃で、第6代成宗の妹、第7代穆宗の母だったファンボ・スこと千秋太后の生涯を新たな視点で解釈。歴史上は、逆徒キム・チヤンと私通した上、権力欲に取り憑かれた毒婦・妖婦というネガティブな評価が一般的らしいですが、ここでは実兄成宗との対立すら厭わず、高麗建国の祖、太祖王建(ワンゴン)の理想を実現しようとする女傑として描かれています。女傑女優チェ・シラの武勇ぶりが楽しい。けど、情人キム・チヤンとの顛末は、オチがちょっとお粗末なような。女傑も男を見る目はイマイチだった!?

■朝鮮王朝(李氏朝鮮)

龍の涙
時代:初代太祖李成桂(テジョ イ・ソンゲ)~第3代太宗李芳遠(テジョン イ・バンウォン)~第4代世宗(セジョン)
歴史エピソード:威化島回軍、第1次・第2次王子の乱など
高麗を倒し、朝鮮を建国した太祖李成桂(イ・ソンゲ)から、第3代国王の太宗李芳遠(イ・バンウォン)、そして第4代世宗大王の治世に至る朝鮮王朝建国絵巻。父ソンゲとの相克を経て王位につき、強い王権を確率すべく容赦ないリーダーシップを振るうイ・バンウォンが中心人物。そのバンウォンも太子譲寧(ヤンニョン)大君イ・ジェの反抗には悩まされ、ついに廃位し、際立って聡明な三男忠寧(チュンニョン)大君イ・ドに譲位します。これが後の世宗大王。ほとんど男ばかりのドラマの中で、バンウォンに負けず劣らず烈しい性格の妻ミン氏が特にドラマ前半で大活躍。バンウォン即位後は冷遇され、2人の実弟は処刑、晩年は王妃としての権限を全て剥奪されるという不遇に見舞われる人物です。目下、視聴中。全159話のようやく終盤にさしかかり、譲寧が廃位されそうなところまできています。

大王世宗(テワンセジョン)
時代:太宗~世宗
全編録画したけど、まだ見てません。ハングル開発の苦労とかチャン・ヨンシルの日時計とか、いろいろなエピソードが出てくるようです。

王と妃
時代:第5代文宗(ムンジョン)~第6代端宗(タンジョン)~第7代世祖(セジョ)~第8代叡宗(イェジョン)~第9代成宗(ソンジョン)~第10代燕山君(ヨンサングン)
歴史エピソード:癸酉靖難、端宗処刑、端宗復位事件(死六臣事件)、イ・シエの乱、甲子士禍(カプチャサファ)など
第7代世祖(世宗の次男)の長男の妻であり、第9代成宗の母、そして廃位された第10代燕山君(ヨンサングン)の祖母である、仁粋大妃(インステビ)が軸の大河ドラマ。後宮で隠然たる権力を握り続け、政治にも関与した彼女は、歴史ドラマ頻出人物の一人。世祖の長男ウィギョン世子に嫁ぎ、本来なら王妃になるはずであったのに、世子が早世したためその夢かなわず宮中を出たハン氏の、我が子と権力へのただならぬ執念が189話を貫きます。20歳で寡婦となった後、不遇を生き延び、ありとあらゆる策を講じてわが子を王位に就け(これが成宗)、念願の大妃の座を得る。成宗が成人し親政を始めてからも政治への関与をやめず、王妃ユン氏と激しい対立を繰り広げた末、廃位に追い込むも、母后を廃された孫の燕山君(成宗の長男、廃妃ユン氏の子)の恨みに満ちた治世下、その権力にもついに傾く。女傑女優チェ・シラの時代劇初出演作とか。素ならば愛らしいとも言えるであろう若~いチェ・シラが、10代~晩年までを演じ通します。若い端宗を廃して即位した世祖の、功罪半ばする治績に煩悶懊悩する姿もドラマ前半のキモ。希代の策士と言われるハン・ミョンフェの、一筋縄でいかない絡みも精彩を放っています。今、BSでフォロー中。

王と私
時代:第7代世祖~第8代叡宗~第9代成宗~第10代燕山君
歴史エピソード:端宗復位事件(死六臣事件)、オ・ウルドンのスキャンダル、廃妃ユン氏賜死、甲子士禍(カプチャサファ)、中宗反正など
成宗、その妃ユン氏(廃妃)、そして彼らに仕えた内侍(宦官)キム・チョソンの3人を軸に、廃妃ユン氏、燕山君の廃位などを新たな視点で捉えたドラマ。宮廷生活を支え、王族の私生活に深くコミットしながらも、日陰の存在であった内侍(ネシ)に光を当てたという点でも斬新。名君と言われる成宗ですが、女性関係はだらしなく、自分を愛した女性を2人も処刑することになったり(オ・ウルドンと廃妃ユン氏)、反発しながらも結局母の仁粋大妃に頭が上がらなかったりして、けっこう柔弱な王という感じです。対するユン氏は、貧しい家門の出で有力な後ろ盾もない中で、信義を貫こうとする聡明な女性として描かれ、それ故に周囲から孤立し、最後は我が子を守るために賜死を甘受する毅然とした女性として描かれます。そして、彼らに仕えるキム・チョソンは、愛するユン氏のために自ら去勢し宦官となって宮廷に入り、生涯にわたってユン氏を陰から守り続け、その子燕山君にも誠心誠意仕える、という、かなりドラマチックな設定。策士ハン・ミョンフェも、裏で宮廷を動かすフィクサーとして微妙に重要なポジショニングで登場します。因みに仁粋大妃は、『王と妃』ほど強烈な存在感はありません。

宮廷女官チャングムの誓い
時代:第10代燕山君~第11代中宗
登場する歴史エピソード:廃妃ユン氏賜死、甲子士禍(カプチャサファ)、中宗反正など
ごぞんじ不屈のチャングムのリベンジ物語。ドラマは燕山君治下から始まり、その異母弟中宗の時代がメインになります。チャングム幼少期、父親が落命するのは、武官としての役職上、廃妃ユン氏の賜死に関与せざるを得なかったからで、ユン氏の処刑に関わった人物をことごとく弾圧の対象とした甲子士禍の犠牲になったという設定です。一方、幼いチャングムが、何も知らずに、燕山君打倒のクーデター(中宗反正)のために、メッセンジャーガールとして重要な役割を果たすシーンも出てきます。

ファン・ジニ
時代:中宗
実在の妓生(キーセン)ファン・ジニの芸の道。華やかな衣装も見もの。

キム尚宮
時代:宣祖(ソンジョ)~光海君(クヮンヘグン)~仁祖(インジョ)
歴史エピソード:壬辰倭乱・丁酉倭乱(文禄・慶長の役)、後金(清)中立政策、仁祖反正
燕山君と並ぶ暴君として名を残した光海君と、その愛人であり策士でもあったキム尚宮ケトン(ケシ)の栄枯盛衰。不幸な生い立ちから寺で育ったキム・ケトンが、持ち前の賢さで宮中に入り、王子光海君と情を通わせ、彼を即位させるためにあらゆる策を弄し、即位後もイ・イチョムらとともに政局を操ります。廃位された光海君は、結局暴君として汚名を残すことになりますが、一方で明と後金との間で中立を保持した外交政策など評価すべき点もあると言われてます。光海君&キム尚宮のドラマとしては、他に『王の女』があります。

王の女
↑と同じくキム尚宮ケトン(ケシ)の一記。ここでは光海君への一途な愛を柱に、つねに権力基盤を脅かされ続けた悲運の王を、変わらぬ忠節で支え続ける女策士として描かれています。廃位されたために暴君と記憶されることになった光海君についても、倭乱での戦功や政治家としての手腕に光を当て、悲運の名君という捉え方しています。光海君の兄で、火のような性格の臨海君(イメグン)を演じたキム・ユソクの迫真の演技が出色!それにしても、このドラマでの宣祖王はホンマにヘタレやなぁ~という感じ。困難な時代ではあったのですが、何かと言えば「譲位」を口走ることで辛うじて権威を保った、在位だけは長い、ちょっとセコい王という印象です。
出演:チソン、パク・ソニョン、キム・ユソク、イ・フン、イム・ドンジン

最強チル
時代:仁祖
歴史エピソード:丙子胡乱、昭顕(ソヒョン)世子毒殺など
韓国版必殺仕事人。昼は義禁府(ウィグムブ)の冴えない下級役人、夜は弱きを助け強きをくじく正義の刺客チル。とその仲間たち。

トンイ
時代:粛宗(スクチョン)
BSで放映中。粛宗といえば、かの悪女 禧嬪チャン氏(チャン・ヒビン)を寵愛した王として知られますが、同じく粛宗の寵愛を受け、後の英祖の母となったチェ・トンイの出世物語(だと思う)。チ・ジニの粛宗が、ちょっと軽めの、やや軽薄そうなノリ。チャン・ヒビンも登場します。今は聡明なしっかりした女性で、トンイとも信頼関係で結ばれていますが、背後にいる派閥との立場関係で、ヤバい感じになってきています。低い身分から身を起こし、王の寵愛を受けて出世し、王の母となったという点では、チャン・ヒビンもトンイも同じなのですが、前者は希代の悪女、後者は希代の善女として名を残すことになりました。今後ヒビンどう化けるのか!?トンイがどうやってサクセス街道を進んでいくのか!?

太陽人イ・ジェマ
時代:19世紀
歴史エピソード:江華島事件など
ホ・ジュン(許浚)と並ぶ韓国医学の父で、四象医学を打ち立てた王朝末期の医師イ・ジェマ(李済馬)の生涯。両班の庶子として生まれ、武官をめざすも、持病の為に叶わず、医学の道に進む。人間の体質を4分類し、同じ病気でも体質によって治療法は違うと主張する彼の理論はなかなか受け入れられなかったが、信念をもって臨床と研究を続け、ついに四象医学を確立します。